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機能性身体症候群

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近年、社会や医療構造の変化などに伴って、疾患の構造も変化しつつあります。身体症状が続くのに、通常の医学的検査で対応した異常がみつからず、医学的アプローチが奏功しにくい疾患が増えてきました。

欧米諸国でも同様の問題があり、それらの疾患は機能性身体症候群(functional somatic syndrome; FSS)と呼ばれています。FSSは「身体症状の訴え、苦痛、障害の程度が、個々の疾患に特異的な構造や機能によって説明できる障害の程度に比べて大きいという特徴を持つ一連の疾患群」と定義されています。

例えば、胃痛や胸焼けが続くので病院で検査をしたけども、胃カメラでは異常がないと言われた。しかし、症状は依然として続き、薬で一時的に多少はよくなるものの、またすぐに症状がでてくる。どこへ行っても異常がない、気の問題だ、などと言われる。

このようなケースは、確かに胃壁に潰瘍や胃炎があるなど、器質的な異常はないのですが、胃の機能(はたらき)に問題があり、胃炎などと同じ症状が出てきます。これは、機能性ディスペプシアとよばれているものです。

FSSは、この機能性ディスペプシアの他に、過敏性腸症候群、線維筋痛症、慢性疲労症候群などをコア疾患として、さまざまな領域にわたって機能的な異常が表れる疾患群のことを言います。

これらは、互いに合併したり、症状の移動がみられたりして、共通の問題点や特徴があります。そのため、一つの症候群として捉えた方がよいと考えられてきました。

FSSの患者さんは、医学的検査を繰返し受け、治療関係がこじれやすく、医療機関をワンダリングするなど、その対応にはマンパワーや医療経済的観点からも問題が大きく、FSSに対するより適切な病態把握と対応が求められています。

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