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従来のバイオフィードバックは、身体の状態をより適切な状態にコントロールする、ことに重点がおかれていました。このようなバイオフィードバックが有用なケースも多々あります。しかし、バイオフィードバックの本当の有用性は、からだをコントロールするだけではありません。

バイオフィードバックは、「気づき」の手段として、また、からだとの対話をする手段として、すなわち「からだの声を聞く」手段として有用です。そして、「一人称のからだ」と「三人称のからだ」をつなぐものとしての役割があります。

コントロールできるかどうかよりも、コントロールを試みるプロセスにおいて、どうからだと対話し、からだの声を聞くかに重点をおきます。
患者自身のからだの状態を、いまここで信号として客観化されたものを、治療者と患者が共に見て(共有)、共に考え、患者の主観的なからだの感覚との関係を考え、共に気づきへのプロセスを味わっていく。

このような、気づきや対話に重点をおいたバイオフィードバックをBody Awareness Biofeedback と呼んでいます。

からだは常に変化しています。

常に変化しているからだの状態をとらえる手掛かりとしてさまざまな指標が考えられますが、バイオフィードバックでは動的な変化をとらえやすい、精神生理学的指標を主に用いて、それを治療的に扱います。

1) 筋電図 (EMG) <筋肉の緊張・弛緩をみる>
緊張が強いられる現代の生活では、持続的な筋緊張が関与する肩こり、頭痛、腰痛、慢性疼痛などが問題となっています。このような病態に関わる筋緊張の度合いを捉えます。

2) スキンコンダクタンス (SCL) <情動性発汗をみる>
発汗の中でも手掌発汗は中枢性で、情動の変化に対応しています。ウソ発見器はこれを用いたもので、心理的な動揺でも鋭敏に変化します。覚醒の度合い、精神的な動揺/安定性、緊張/弛緩などを捉えます。

3) 皮膚温 (TEMP) <皮膚の温度をみる>
末梢血管の収縮拡張などによって、皮膚温は常に変化しています。ストレスがかかると末梢の血管は収縮して循環が悪くなり、皮膚温は低下します。皮膚温はこのような状況に応じた末梢循環の変化を捉え、自律訓練法などのリラクセーションの指標としても重要です。

4) 容積脈波 (BVP) <末梢血管の収縮拡張をみる>
皮膚温とともに、末梢血管の変化をより直接的に捉えます。また、脈波から脈拍数が分かり、心電図をつけなくても心拍数を捉えることができます。

5) 呼吸 (RESP) <呼吸のパターン・深さ・速さをみる>
呼吸はさまざまな身体調整法の鍵となるものです。意識と無意識の接点でもあります。呼吸を捉えることで、心身のさまざまな状態を推定することができます。

6) 心電図 (EKG) <心臓の働きをみる>
心臓はからだの活動とリズムの源です。身体的な状態はもちろん、心理的な状態によってもその機能は大きく変化します。

バイオフィードバックでは主に心拍数と心拍変動を捉えます。心拍数は生体リズムの源で、緊張すると「ドキドキする」と言われるように、自律神経系の緊張/弛緩の総合的な指標でもあります。

7) 心拍変動 (HRV) <自律神経の機能の指標>
心拍変動は自律神経機能を客観的に捉えたものとして、最も研究がなされている指標の一つです。心拍変動から、自律神経系の適応の柔軟性、交感神経・副交感神経のバランス、緊張の度合いなどを評価できます。

バイオフィードバックとは...

バイオフィードバックでは、からだの変化をとらえる生理指標を使って「からだの声をきき」「こころ」とからだの対話」を行います。

「バイオ」=からだの
「フィードバック」=情報を返す
という言葉の通り、普通は気づかないからだの変化を測定し、それをフィードバックすることにより、からだの状態をよく知り、心身をよりよい状態に調整することを目指す方法です。

私達のからだは動的なものです。
「いま」のからだと「過去」-例えば1時間前-のからだとは違います。「未来」-例えば1時間後-のからだはまた変化しています。

心臓は常に鼓動を繰り返していて、血液は常にからだの中を循環しています。そのために末梢血管に脈が生じ、皮膚の温度は常に変化します。汗の量は体温を調整するために刻々と変動し、胃腸は蠕動運動を行い、筋肉は緊張と弛緩を繰り返しています。そして、心理的なストレスによって、これらの動きは大きく変化します。

このように常に変化しているからだの状態をとらえる手掛かりとして、さまざまな指標が考えられますが、バイオフィードバックでは動的な変化をとらえやすい精神生理学的指標を主に用いて、それを治療的に扱います。



具体的には、
・ 筋電図 (肩こりや頭痛などに関係する、筋緊張をみる)
・ スキンコンダクタンス (精神的な緊張、動揺や安定性、情動の緊張やリラックスをみる)
・ 皮膚温 (痛みやむくみに関係する、血液循環をとらえる)
・ 容積脈派 (末梢血管の収縮・拡張から血液循環をとらえ、脈拍数をみる)
・ 呼吸 (こころとからだの接点である、呼吸のパターン・深さ・速さをみる)
・ 心電図 (血圧や動悸などに関係する、心臓のはたらきをみる)
・ 心拍変動(発汗、ほてり、ふらつき、腹痛、便秘などいろいろな症状に関係する自律神経の働きみる)
などを同時に測定します。
どれも衣服を着たままで、指先などにテープを貼るだけで簡単に計ることができ、痛くもかゆくもありません。

バイオフィードバックは、客観的な指標(=「からだとこころの道しるべ」)で確認しながら、心身を調整できるのが最大のメリットです。リアルタイムで確認することで、からだの感覚と実際の状態とのギャップを埋めて、正しい調整を目指します。

そして、もっと大事なことは、それを通して自分のからだの状態に気づくこと、すなわち「からだの声をきく」ことです。自分のからだと十分に対話し、「こころとからだの対話」を進めていきましょう。

バイオフィードバックは、からだの状態を客観的にとらえて、それを主観的な体験に戻す過程を含んでいます。主観的に体験されたものと、客観的に表示されたものが、まるで対話を行うようなイメージです。

客観的に表示されたものは、セラピストとクライエントで共有することができます。
このようなプロセスを通して、からだの声を聞き、こころの声に耳を傾けるのがバイオフィードバックです。

以上をまとめると
バイオフィードバックとは
・刻々と変化している
・今ここにあるからだの状態を捉えて
・からだの状態とその変化の過程を
・からだの持ち主に
・いまここでフィードバックし
・それを治療者と共有し
・からだの状態を知り
・からだの声を聞き
・からだを望む状態に調整したり
・気づきを深めたりする方法

...です。

本来身体をより適切な状態に持っていってくれるはずの自律神経が、症状の持続に関与するという状態になってしまっている場合は、意識的に自律神経のコントロールを試みることもあると、心と身体の関係-自律神経系-で述べました。

そのような具体的な方法としてリラクセーション法やバイオフィードバックなどがあります。自律神経系や筋緊張などの身体の状態をコントロールすることで、身体の状態をより適切な状態に保ち、本来のバランスを取り戻すことにつなげようというわけです。


◇リラクセーションとは◇

「リラクセーション」とは、本来は「弛緩」とか「緩和」という意味で、「緊張」に対する言葉です。つまり簡単に言えば身体や心を緩めることです。

「リラクセーション反応」(→BOOKSHELF)の著者であるハーバート・ベンソン博士は「闘争・逃走反応」に拮抗するのが「リラクセーション反応」であり、リラクセーション反応によって闘争・逃走反応を中和することができると述べています。
 
「闘争・逃走反応」というのは動物の世界での表現であって、秩序の整った?現代において「逃走」が必要という場面はそうそうありませんが、代わりに人間関係などから「緊張」を強いられる場面はよくあります。
ですから、「闘争・逃走反応」というのは、現代の生活で言えば緊張を強いられるようなときに生じる身体の反応のことと考えればよいでしょう。

例えば心拍数が増える、呼吸が浅く早くなる、瞳孔が開く、手に汗を握る、などです。これらは主には自律神経の中の、交感神経といわれるものの緊張が相対的に大きくなって起こる反応です。(交感神経と拮抗するのが副交感神経というもので、これはどちらかというと身体を休める方に作用する神経系です。)

このような身体の反応は、状況に対応する為に必要な反応であり、それ自体悪いものではありません。しかし、この緊張状態が日常的に続き、休息と比較して極端に大きかったり、休息すべきときにも緊張が続いたりするようになると歪みが生じて、いろんな身体症状や精神症状を引き起こすことがあります。

身体症状が持続した場合は心身症の状態になることもあります。精神症状としては不安障害やうつ、不眠などが代表的です。社会的な場面において過度の緊張が起こり、それがコントロールできないような状態は「社会不安障害」とか「対人緊張」と言われることもあります。そこで、過度に多くなった「緊張反応」を中和する「リラクセーション」が必要になってくるのです。


◇バランスとメリハリ

 ただ、ここで一つ注意しておかなければならないことは、「心地よい緊張」というのもあるということです。「緊張」が悪くて「リラクセーション」が良いから「リラクセーション」の方に持っていこう、という単純なことではないのです。

緊張にもいろいろあり、リラクセーションにもいろいろあると考えられます。しかし、複雑な要素を考えていくと混乱してしまうので、わかりやすいように単純化して二つの反応として表現しています。

一番大切なことは「緊張」と「リラクセーション」のバランスとメリハリです。
緊張すべきときに適度に緊張し、休むべきときに適度にリラックスする。そのバランスとメリハリを自分でつける方法がリラクセーション法です。

自分でコントロールできる、ということが大事です。それには前提として自分の身体の状態を的確に知ることが必要です。緊張や弛緩の感覚が敏感な人もあれば、そうでない鈍感な人もあるでしょう。
心身症の患者さんにおいては、そのような感覚が健康な人に比べて敏感すぎたり鈍感すぎたりする傾向があることが分かってきています。

そのような感覚を適切なものにして、セルフコントロールを目指すのが、心身医学的なリラクセーション法です。様々なリラクセーションの方法がありますが、それぞれに長所と短所があり、自分に合った方法を見つけることが大切です。

リラクセーション法はその使い方が大事です。
リラクセーションの習得に熱心になってしまってかえって緊張がとれない、という笑い話のようなことが実際にはしばしばあるので注意しましょう。

2017年8月

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