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心身症や機能的な身体疾患、慢性疼痛などの患者さんで、こういうケースがあります。
・感情はいろいろあるけれど、それがうまく表現できない。
・身体の緊張が高いけど、それを感じることができない。
・身体の症状が感情や情動と関連がありそうだけれど、その自覚がない。あるいは、認めたくない。
一言でいうと、精神的・身体的なエネルギーはある程度高いのですが、その高いエネルギーの向く方向がばらばらであったり、相互のコミュニケーションがうまくとれないために、統合できないという状態です。
アレキシサイミア(Alexithymia; 失感情症)やアレキシソミア(Alexisomia; 失体感症)とも重なる部分がありますが、特にエネルギーは高いのに統合されず、有効に使われないという面が特徴的なケースです。
精神的・身体的エネルギーが有効に使われないために、うつというわけでもないのに、疲労感が大きくなります。
このようなケースでは、ばらばらな状況に気づき、統合していくというプロセスが必要です。でも、これはそうそう簡単にできるものではありません。
一つの方法として、からだの感覚と「キャッチボール」や「対話」をするところから入るやり方があります。
からだの感じていることにまずはよく耳を傾けます(からだの声をきく)。
聞く耳を持つという姿勢がまずは大切です。「聞いてやるぞ」という姿勢ではなく、「よく耳を傾けてきく」という姿勢です。
そして、今度はからだに働きかけます。
動かしてみるのもよいし、言葉で話しかけるのでもいい。「キャッチボール」や「対話」は一方通行ではないので、やりとりを続けることが重要です。
そのような「キャッチボール」や「対話」を続けていると、何らかの気づきが生じるはずです。それをきっかけとして、自分の中にある、感情、情動、知性、身体という要素が統合されて、有効に機能するようになっていきます。
前述のように、決して簡単な過程ではありませんが、気づきが深まっていくと、少しずつ自然にすすんでいきます。
ちょうど、野球やサッカーで、チームワークがうまくいかなければどんな強い選手が集まっていても勝てないけれど、チームワークやコミュニケーションがうまくいくと、選手力の総和を最大限にすることができ、勝てるようなものです。
「からだ・気づき・アプローチ」はそのようなプロセスを助ける方法の一つです。 |
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