バイオフィードバック(Biofeedback)とは

バイオフィードバックとは

バイオフィードバックとは、

 「バイオ」=からだの
 「フィードバック」=情報を返す

という言葉の通り、普通は気づかないからだの変化をを生理的な方法でとらえ、それを目で見える形でフィードバックすることにより、からだの状態をよく知り、心身をよりよい状態に調整することを目指す方法です。

からだは動的なものです

「いま」のからだと「過去」−例えば1時間前−のからだとは違います。「未来」−例えば1時間後−のからだはまた変化しています。

心臓は常に鼓動を繰り返していて、血液は常にからだの中を循環しています。そのために末梢血管に脈が生じ、皮膚の温度は常に変化します。汗の量は体温を調整するために刻々と変動し、胃腸は蠕動運動を行い、筋肉は緊張と弛緩を繰り返しています。そして、心理的なストレスによって、これらの動きは大きく変化します。

このように常に変化しているからだの状態をとらえる手掛かりとして、さまざまな指標が考えられますが、バイオフィードバックでは動的な変化をとらえやすい精神生理学的指標を主に用いて、それを治療的に扱います。

どんな指標を使うか

具体的には、
 ・筋電図(肩こりや頭痛などに関係する、筋緊張をみる)
 ・スキンコンダクタンス(情動の緊張、動揺や安定性、リラックスなどをみる)
 ・皮膚温(痛みやむくみに関係する、血液循環をとらえる)
 ・容積脈派(末梢血管の収縮・拡張から血液循環をとらえ、脈拍数をみる)
 ・呼吸(こころとからだの接点である、呼吸のパターン・深さ・速さをみる)
 ・心電図(血圧や動悸などに関係する、心臓のはたらきをみる)
 ・心拍変動(発汗、ほてり、ふらつき、腹痛、便秘などいろいろな症状に関係する自律神経の働きみる)
などを同時に測定します。
どれも衣服を着たままで、指先などにテープを貼るだけで簡単に計ることができ、痛くもかゆくもありません。

「からだとこころの道しるべ」

バイオフィードバックは、客観的な指標(=「からだとこころの道しるべ」)で確認しながら、心身を調整できるのが最大のメリットです。リアルタイムで確認することで、からだの感覚と実際の状態とのギャップを埋めて、正しい調整を目指します。

そして、もっと大事なことは、それを通して自分のからだの状態に気づくこと、すなわち「からだの声をきく」ことです。自分のからだと十分に対話し、「こころとからだの対話」を進めていきましょう。

バイオフィードバックは、からだの状態を客観的にとらえて、それを主観的な体験に戻す過程を含んでいます。主観的に体験されたものと、客観的に表示されたものが、まるで対話を行うようなイメージです。

客観的に表示されたものは、セラピストとクライエントで共有することができます。
このようなプロセスを通して、からだの声を聞き、こころの声に耳を傾けるのがバイオフィードバックです。

以上をまとめると

バイオフィードバックとは
 ・刻々と変化している
 ・今ここにあるからだの状態を捉えて
 ・からだの状態とその変化の過程を
 ・からだの持ち主に
 ・いまここでフィードバックし
 ・それを治療者と共有し
 ・からだの状態を知り
 ・からだの声を聞き
 ・からだを望む状態に調整したり
 ・気づきを深めたりする方法
...です。

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<参考>ストレスによる生理指標の変化の例

健常人と心身症患者のPSPの例