心身症患者のストレス反応を捉える

心身症におけるストレス反応を捉える
 −「ストレス・プロファイル」と失体感症(アレキシソミア)

私達は、心理的ストレスに対する身体の反応を精神生理学的な指標を用いて評価する方法、「ストレス・プロファイル」について研究を重ねてきました。

その結果、心身症群では自律神経系などの生体機能のストレス反応は、健常群と比べて低下していることが分かってきました。
慢性的なストレス状態では自律神経系の緊張が高まると言われています。一方で、ストレスに対する反応は低下し、外的状況に適切に対応できなくなっているという側面を捉えたのです。

さらに、心身症群では自覚的な緊張感は高く、ストレスに対する身体感覚の「緊張と弛緩」などのメリハリが低下しているという結果も出てきています。

心身症では「アレキシサイミア(Alexithymia)=失感情症」(感情の気づきや表現が乏しくなる)との関連が言われていますが、感情だけでなく身体感覚の気づきも低下しているようです(アレキシソミア(Alexisomia)=失体感症)。

人間が人間らしく存在できるのは、外界の情報を捉える感覚のおかげです。
より根源的な感覚である身体感覚の低下やストレスの生理的反応の低下は、ストレス社会における人間の身体に何らかの歪みが生じている警鐘とも考えられます。

人間が本来の心身の健康を取り戻すにはどうしたらよいか。
私達は、その手掛かりを心身医学の視点から探っています。

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