ストレスプロファイル (Psychophysiological Stress Profile: PSP) とは

ストレスプロファイル (Psychophysiological Stress Profile: PSP) とは

自律神経系など、身体の調整を行っていてストレスなどによって変化しやすい心身の調整機能を精神生理学的に調べる方法です。

ストレスに対する自律神経系などの身体の反応には、ある程度安定したプロフィールがあるとされています。PSPでは日常生活で体験するのに近いメンタルワークストレスによって、自律神経系や筋緊張などの生理的指標がどのように変化するかを調べ、その反応の仕方や自分で感じる身体の感覚との関係などを調べます。

例えば典型的には、ストレスによって、スキンコンダクタンス(情動性発汗)は上昇し、末梢の血管は収縮して皮膚温は低下し、心拍数は上昇し、額などの筋電位は上昇します。

しかしその反応の仕方が、ある指標では過剰であったり、反応が鈍かったり、ストレス前の方がかえって緊張が高かったり、ストレス後の回復が遅れたりします。また、情動性の指標は反応が高いけど、血管の反応は低いなど、指標によって反応のパターンが違ってくることもあります。そのとき、その人に特有の反応のパターンを評価するのがPSPです。

測定する指標 →バイオフィードバックで用いる指標

  1. 筋電図 (surface electromyogram: SEMG):
    筋肉の緊張弛緩をみる。身体的な緊張・リラックスの指標。
  2. 皮膚電気活動 (electrodermal activity: EDA):
    情動性発汗を反映。精神的な緊張・リラックスなどの指標。
  3. 皮膚温 (skin temperature: TEMP):
    末梢の血液循環を反映する。
  4. 容積脈波 (blood volume pulse: BVP):
    末梢血管の収縮拡張や脈拍数をみる。
  5. 呼吸 (respiration: RESP):
    呼吸のパターン、深さ、速さなどをみる。
  6. 心電図 (electrocardiogram: ECG):
    心臓の働きをみる。
    → heart rate variability:HRV:心拍変動:交感神経と副交感神経の緊張やバランスを評価する。
  7. 脳波 (electroencephalogram: EEG):
    脳の機能的な状態をみる。
ストレスプロファイル

手順

  1. 上記の信号を測定しながらしばらく安静にした後、簡単な問題を行ってもらい、その後また安静にします。過呼吸テストを加えることもあります。
  2. 前後にPOMSや自覚的スコア、身体感覚増幅尺度などの質問紙を行います。
  3. 自律訓練法などを行っている場合は、測定しながら引き続いて行ってもらい、そのときの変化をみます。

目的と意義

  1. 精神生理学的な評価(自律神経機能及び筋緊張の評価)。
    自律神経系や筋緊張を反映する指標のストレスによる反応性を評価します。
    また、自覚的な身体感覚や気分との関連性を併せて検討します。それによって、心身相関などの病態を把握する材料とします。
  2. 心身相関の気づきや理解を促す。
    ストレスによる生理的指標の変化をフィードバックすることで、心身相関の理解や気づきのきっかけになります。
  3. 最適なリラクセーションの方法の選択。
    いくつかあるリラクセーション法・行動医学的アプローチの中で、どれが一番合っているかを推定します。
  4. 自律訓練法・呼吸法などの行動療法の効果判定。
    すでに自律訓練法や呼吸法などを行っている場合は、その際の指標の変化を調べ、効果を評価します。それをフィードバックすることで、モチベーションや理解を高めます。
  5. バイオフィードバックの為の評価。
    バイオフィードバックでは、上記の指標を自分でコントロールして、心身をよりよい状態に持っていくことを目指しますが(後述)、どのようなバイオフィードバックを行うかをPSPで評価します。
  6. 心理的効果(外在化と行動変容)
    PSPを各治療の節目で用いることで、治療者患者間で共有できる客観的な指標が得られ、外在化や行動変容などの心理的効果をもたらします。

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