「こころ」と「からだ」の関係

こころとからだ

専門的な言葉では「心身相関」です。
心身相関は心身医学・心療内科の重要な基本概念で、これだけで何冊かの本ができるくらいの内容ですが、その中のいくつかについて述べたいと思います。

私たちのこころもからだも常に変化していて、固定したものではありません。生きるということは変化するということ。ついさっきまで悲しんでいたかと思うともう笑っているし、それに伴って身体の状態も必ず変化します。

身体の状態も刻々と変わっています。昨日の体調と今日の体調が違うのはもちろん、筋肉が緊張したり緩んだり、心臓は常に動きながら速くなったり遅くなったり、胃腸の状態もどんどん変化します。そして、身体の状態がよいと気分もよくなるなど、身体の変化は心の変化を伴います。

「こころと身体の法則」の著者、ジョン・A・シンドラーは、自律神経系や内分泌系(ホルモン)を通して感情が如何に身体に影響を及ぼすかを説明し、「身体的変化を起こさない感情はありません」と述べています。

心身相関の例

心身医学でよく引用される例として<うるし(漆)アレルギー>の話があります。うるしの木の下を通るだけでアレルギーが出るケースで、うるしではなく他の木だと暗示をしてうるしの木の下を通ったら、アレルギーはでなかった。しかし他のうるしではない木を、「これはうるしだ」と暗示を与えて通ったら、うるしのアレルギーが出たという実際の例です。

日本人に昔から多い「神経性胃炎」、今日では「機能性ディスペプシア」と言われますが、胃は最もストレスの影響を受けやすい臓器の一つです。いわゆるストレスが重なると、胃酸が増えたり、胃の動きが悪くなって胃酸が停滞してたまりやすくなったりして、胃炎や胃潰瘍が起きやすくなります。

このように、心と身体は密接な関係にあることはよく知られています。そもそも心と身体は「密接な関係」というより、「同じものを別の角度からみているようなもの」だという考え方さえあります。東洋医学や仏教では「心身一如」といわれます。いずれにしても心と身体は表裏一体の分けられない関係であることは間違いありません。

「こころ」と「からだ」を結ぶルート

心と身体を結ぶルートとして自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系が言われていますが、それ以外にも腸内細菌を介したルートなどいくつかのルートがあり、それぞれさまざまな研究がなされています。

中でも自律神経系は、最も速くダイナミックな心身相関のルートです。この自律神経系の統合中枢は、脳の「大脳辺縁系」といわれる機能系で、人間らしい働きを司る「新皮質系」と、植物的な働きを担う「脳幹・脊髄系」をつなぎ、その中間にあたります。この大脳辺縁系は、心身相関のポイントになる部分で、心身医学的に最も重要なシステムです。

内分泌系は身体のさまざまな機能を調整しているホルモンを分泌する系で、この異常としては、甲状腺機能亢進症(バセドー病)や低下症(橋本病)などが比較的知られた疾患です。ストレスとの関連では、コルチゾールが知られています。

免疫系は身体の防御システムで、ストレスや抑うつによって、この防御機能が弱くなり、病気に対する抵抗が弱まって病気になりやすくなる、といったことが知られています。

関連コラム・文献など



心療内科と心身医学の臨床と研究のページTOPへ
MIND-BODY THINKING.COM -こころとからだの対話-